裏層と覆髄の違いは?~歯科用語を腑に落とそう!歯科医師国家試験、歯科衛生士国家試験、歯学部試験対策に~

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今日のテーマは「裏層」と「覆髄」です!

これ、ものすごくややこしいですよね?

上の動画でも解説しているので、是非ご覧ください^^

【本日の内容】

1.裏層と覆髄の違い

2.裏層とは?

①ベース裏層

②ライニング裏層

3.覆髄とは?

①間接覆髄

②直接覆髄

③暫間的間接覆髄(IPC法)

1.裏層と覆髄の違い

裏層と覆髄の違いは、「象牙質をつくらせるか否か」です。

どちらも、齲蝕が深かった場合に、神経(歯髄)を保護するために行う処置です。

齲蝕が深く、歯髄ぎりぎりまで切削すると、その後に歯がしみてしまったり、ズキズキ痛んだりという症状が出ることがあります。それを防ぐために、熱いものや冷たいものから神経を守るのです。

ただ、その際に、

裏層は材料そのもので神経への刺激を遮断します。

覆髄は材料の効果で象牙質をつくり刺激を遮断します。

では、詳しく見てみましょう。

齲蝕が深くて歯髄を保護しなければならない場合、「材料」を足して、神経を刺激から守るのですが、

その際、水酸化カルシウムなどの薬剤の効果により象牙質の形成を促し、積極的に神経を守りにいくのが、「覆髄」です。

それに対して、薬剤としての効果は期待せずに、神経を刺激から遠ざけるためにベースセメントやCRなどの材料を充填する処置を「裏層」と言います。

どちらも、目的は同じなのですが、使っている材料とその効果が違います。

次の項目で、それぞれについて細かく解説していきますね!

2.裏層とは?

裏層には、2種類があります。

①ベース裏層

②ライニング裏層

です。

この2つのどちらも、同じ効果を狙っています。

それは、

「歯がしみないようにする」

ことです。

大きな齲蝕があり、神経(歯髄)ギリギリまで削った場合、その後に、インレーやアンレーなどをそのまま入れると、熱を通しやすい金属は特に、直接歯髄に刺激が伝わってしまい、歯が冷たいものなどでしみてしまいます。

そこで、インレーの形態を整える前に、セメントやCRなどの材料を歯に足して、なるべく神経と補綴物の距離を保とうとします。

それが、「裏層」です。

材料を歯に足すことで、齲蝕を取っただけのガタガタな面を綺麗に整えるという効果もあります。

「裏層」の中でも「ベース裏層」とは、齲蝕が深かった時に、厚めに材料を足すことです。

それに対して「ライニング裏層」は、「材料を足す」というよりは、「塗る」イメージです。

歯がしみそうではあるけれど、あまり厚く材料を足してしまうと、今度はインレー形成で深さが出せない(つまりインレーに厚みが出せない)ような時、象牙質に一層塗る感じがライニング裏層です。

このように、「歯がしみないように材料を足して神経を保護する」処置が「裏層」です。

3.覆髄とは?

覆髄には、3種類があります。

①間接覆髄

②直接覆髄

③暫間的間接覆髄(IPC法)

です。

①間接覆髄

間接覆髄は、「齲蝕がものすごく深かったけれども、歯髄までは達していない、でもギリギリ!」という場合に行います。

水酸化カルシウムなどを窩洞に置いて、歯髄まで薄皮一枚となった象牙質に、薬剤の効果で厚みを出させようとします。

「第三象牙質の形成を促す」とも言われますね。

ただ、水酸化カルシウムのみではやはり外部刺激の遮断までは難しいので、その上からセメントやCRを充填して、外部の刺激を遮断することが多いです。

この時使うセメントやCRを「裏層剤」と言います。

この間接覆髄と、ベース裏層が一番ややこしいポイントなのではないかなと思います。

②直接覆髄

直接覆髄は、「齲蝕がものすごく深くて、歯髄が見えてしまった場合(露髄した場合)」に行います。

ただ、露髄も”がっつり露髄”ではなく、1~2mmまでと言われています。

歯科治療は、とにかく神経を残す(歯髄を守る)ことを考えて行います。

なぜかというと、抜髄した歯(失活歯)は神経が生きている歯(生活歯)の何倍も、折れやすく脆くなり、歯の寿命を縮めてしまうことにつながるからです。もちろん、神経を取っても、治療によって一生歯を守ることもできます!ただ、どうしてもリスクは上がってしまいます。

歯の中は、いつも無菌状態です。

露髄して、外部の空気にさらされた時点で、神経は感染してしまうと言われています。

しかし、まだ望みはある。

その時に行うのが、直接覆髄です。

直接覆髄は、露髄した点に水酸化カルシウムなどの材料を置き、象牙質を形成して、神経を守る治療法です。

最近ではMTAセメントというものもよく使用されますね。

歯髄に直接薬剤を置くところが間接覆髄との違いです。

③暫間的間接覆髄(IPC)法

暫間的間接覆髄法(IPC法)は、「齲蝕が深くてまだ少し残っているけれど、これ以上削ると露髄しそう」という場合に行います。

歯髄まで薄皮一枚、でも検知液は染まるし、もう少し削りたい、でもそうしたら露髄する・・・

という時、水酸化カルシウムなどの薬剤を窩洞に置いて、さらにセメントなどで外部の刺激を遮断して、3か月ほど待ちます。

そうすると、新しい象牙質の形成と共に、齲蝕が存在していた軟化象牙質はなくなり、そこで改めて、薬剤を取って、インレーなどの窩洞形成をするというものです。

「暫間的」とは「一時的」という意味なので、象牙質ができるまで一時的に覆髄すると考えるとイメージしやすいのではと思います。

今日のテーマ、「裏層と覆髄の違い」いかがでしたでしょうか?

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